ハイダイナミックレンジ画像からの光源環境推定による拡張現実感のための光学的整合性の実現

仁科 勇作(0651089)


拡張現実感(AR)において光学的整合性を実現するためには,光源環境の推定が不可欠である.光源を撮影した画像から光源環境を推定する際,カメラのダイナミックレンジ不足により,環境中の放射照度を正しく計測できないため,仮想物体の影や陰影,写り込みを正しく再現できず,仮想物体の写実性が低下する問題がある.この問題を解決するため本研究では,異なる露光時間で撮影された複数枚の画像からハイダイナミックレンジ(HDR)画像を合成し,HDR画像からの光源環境推定と,仮想物体のHDRレンダリングを行う.さらに,ユーザ視点カメラの特性に応じたトーンマッピングによって実画像と仮想物体のダイナミックレンジを一致させる.ここで,複数枚の画像を合成するHDR画像生成において,推定可能なダイナミックレンジとHDR画像の更新レートはトレードオフの関係にある.そこで,HDR画像の更新レートを向上させるため,ARを行う環境に応じて計測する放射照度の範囲を限定し,ダイナミックレンジ不足と更新レート低下の問題を軽減したHDR画像生成を行う.実験では,計測する放射照度の範囲を限定によって,HDR画像の更新レートが向上されることを確認し,計測する放射照度の範囲の限定が仮想物体の写実性に与える影響を検証する.