拡散符号送信型 Spread Spectrum 送受信器に関する研究

中村 俊文 (0651081)


近年, 身の回りにおける無線通信を利用したシステムが多く存在する. 無線通信方式の中で, スペクトル拡散方式は干渉に強く秘匿性の高い通信方式として携帯電話や, 無線LANなどで多く用いられている. しかし, スペクトル拡散方式は送受信器において符号を同期の操作が必要である. よって, 同期のためのパイロット信号や同期回路が必要となり, 演算量が多くなる.
そこで, 本研究では, 小型化の求められるキーレスエントリシステムや, 地中センサーシステムへの応用を想定し, 受信器の構造を簡素化する為に, 同期検波を必要としない方法を考える. 本手法は, 送信データに拡散符号を遅延し加えて送信し, 受信器において移動平均を取り, ピーク検出によりデータを復号する通信方式である. 拡散符号をデータに加える方法として, データに拡散符号を線形加算する方式, データと拡散符号を直交させて加算する方式を提案する. これらの方式では拡散符号ごとに専用のデジタルマッチドフィルタを必要とせず, 汎用性が高い. よって, 干渉に強さが求められる場面においては利用価値が高いと考える.
利用方法の一例として地中間無線通信をとりあげ, 計算機シミュレータを作成し, 特性を評価した. 結果として, 符号誤り率が増加するが, 復号に必要な演算量を大幅に減らしせることを示した.