OFDM信号のピーク電力削減手法におけるπ/4シフトクリッピング法を用いた演算量低減に関する研究

中村隆志 (0651079)


直交周波数分割多重(OFDM;Orthgonal Frequency Division Multiplexing) システムは高速無線通信システムにおいて有望な通信方式である.しかしながら OFDM 方式は,複数の信号を多重して送信するため高いピーク電力を持つ問題がある.OFDM システムの電力効率や周波数利用効率の改善にはピーク電力削 減が重要な要素となる.ピーク電力削減手法として様々な手法が検討されているが,本研究ではクリッピング&フィルタリング(CAF;Clipping And Filtering) 法に着目した.クリッピング&フィルタリング法は信号を一定の値に越える抑えることでピーク電力を低減する手法である.この手法は振幅値との比較演算を行う必要がある.従来研究で検討されてきたI-Qチャネルを独立にクリッピングする手法や振幅値を複数のしきい値を を繰り返し比較するセクタ分割法により演算量低減を図った手法が検討されている. 本発表では,クリッピング法に演算の容易になるような位相回転を用いた手法の提案と検討を行う. そして数値計算として従来手法と提案手法の比較を行う.従来方式と同等の特性があることが明らかになった.また提案方式はCAF 法において信号劣化や隣接するチャネルへの影響が最も少ないことが分かった. さらに演算量の比較では提案方式は振幅値に基づく手法と比べて約92%演算量を低減した.