これらパワーアシスト装具を利用して運動の補助を行う際には,安全のために装具装着部位の姿勢を把握する必要がある.これは装着部位が関節など可動部を含む場合において,関節の屈曲限界以上に補助してしまったり,可動向きと反対方向へ補助してしまう危険を回避するためである.従来の研究ではアシスト装具の関節部に角度センサを取り付けているものもあるが,アシスト装具には角度センサを設置できる箇所が少ない点,人間の関節の中には1関節で複数自由度を持つために,1つの関節に複数の角度センサを設置しなければならない場合がある点などを考慮すると角度センサ以外の方法で関節角度を把握する必要があると考えられる.
そこで本研究では空気圧ゴム人工筋をアクチュエータとしてアシスト装具を構成する場合において,角度センサを用いずアシスト装具が補助している関節の角度を推定することを目的とする.本発表では,まず人工筋内の空気圧と張力の情報から人工筋の特性を利用して人工筋の長さを推定する.次に,アシスト装具の人工筋の取り付け位置という幾何情報と推定した人工筋の長さから補助している関節角度を推定する手法を提案する.さらに,実機を作成しこの提案手法の有効性を確認する.