適応的基底学習に基づく確率的視覚追跡

伊達 虎三(0651067)


視覚による物体追跡の研究分野において、物体の見え方に基づいた表現を利用する 手法が盛んに研究されている。特に、数学的に見通し良く,コンパクトな表現を得 ることのできる固有空間法がしばしば利用される.しかし,固有空間法を実際の視 覚追跡課題に適用する際には、追跡対象の見え方が、例えば照明条件の変化や,対 象の姿勢変動に伴い変化し続けることが一般的であるため,予め準備しておいた固 有空間で表現できるとは限らないという問題がある。この問題に対しては、固有ベ クトル(以後基底画像)をオンラインで更新していく方法が基本的な方法の一つとし て考えられる。 本研究の目的は,時系列ベイズ推定のモンテカルロ近似アルゴリズムであるパーティ クルフィルタと適応的な確率論的主成分分析を組み合わせた視覚追跡法を提案し, その有効性を検証することである.対象の位置などの状態推定はパーティクルフィ ルタを用いて行う.基底画像は確率論的主成分分析モデルをオンラインで変分ベイ ズ推定することにより適応的に学習する。本論文では、提案手法の有効性や問題点 を実際の時系列画像追跡課題を通じて示すとともに,ベイズ的主成分分析法に基づ いた今後の展望を論じる.

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