拘束条件と追従性能を考慮した遠隔制御法に関する研究 −カメラ監視システムへの応用−

辰巳 雅紀 (0651066)


近年, ネットワーク通信技術の発展と普及により, インターネットなどの汎用のネットワーク通信路を介した遠隔制御システムが比較的容易に構築できるようになった. しかしながら, そのような通信路ではネットワークを流れるデータの伝送遅延, 損失, 到着順の入替え(ねじれ)が起こる. それにより, システムの制御性能を保証することが著しく困難になり, 最悪時には, システムの不安定化を引き起こすことが知られている. さらに, 実機への応用を想定した制御法を構築する場合には, アクチュエータへの入力制約や対象物の動作制限などの拘束条件も考慮しなければならない.

本研究では, 伝送遅延, 損失, ねじれが任意に発生するネットワーク通信路において, 拘束条件が存在するネットワーク型拘束システムに対して, 過渡応答の追従性能を考慮した遠隔制御手法を提案する. 提案法は, 拘束条件と制御系の情報から導出される最大出力許容集合を用いて, 参照入力を整形するリファレンスガバナと, 制御器を切り替えるスイッチング制御法とで構成され, 拘束条件を遵守しながら参照入力値への追従を実現する. また, 実機検証として, 本手法をパンチルト機構を有するネットワークカメラの位置決め制御に適用し, その有効性を検討する.