ネットワークモチーフは複雑ネットワークの基本構成要素であり, 複雑ネットワークの機能を理解することを目的に提案されたものである. 従来研究では, ネットワークモチーフは 静的ネットワークのみを対象としている. しかし例えば,WWWネットワークに代表されるように 多くの現実ネットワークは日々変化を繰り返す成長ネットワークである. そこで,本研究ではネットワークの成長過程の解析を目指し, ネットワークモチーフを動的ネットワークに適用するための手法を提案する.
また, 現実ネットワークの重要な特性はクラスタ構造を形成する点にあり, クラスタリングにおいて的確な特徴量を用いることは, ネットワークの解析を進める上で有用である. そこで,本研究では 有向ネットワークにおけるリンクの方向性および構造を重要な情報と捉え, ネットワークモチーフを用いてノードの特徴量を推定するための手法を提案する. 実験ではカテゴリ情報が付与されたWikipediaの記事参照ネットワークを使用し, 提案法と従来法の特徴量の違いによるクラスタリング結果の比較を行った. その結果, 提案法による特徴量を用いたクラスタリングは, 従来法に比べ人手に近い分類結果を獲得することが定量的に示された.