磁気浮上系に対する入力制約を考慮した非線形制御
佐藤 康之 (0651045)
本研究では,入力制約を持つ非線形システムに対する
制御Lyapunov関数を用いた制御系設計法と,
その磁気浮上系への応用に関する問題を取り扱う.
従来,入力制約を持つ非線形システムに対して
制御Lyapunov関数を用いて制御系設計を行う方法が提案されているが,
この方法は制御対象システムにおいて制御目標状態が自律系の平衡状態であると
いうことを前提としていた.
しかしながら,磁気浮上系のようにこの仮定が満たされないシステムも多く,
実システムに適用する場合にはこの点が障害となってしまう.
そこで本研究では,上述の仮定が満たされない磁気浮上系を対象に,
従来の制御Lyapunov関数を用いた制御則に適応機構を持つプレフィードバックを
組み合わせた,非線形ロバスト適応制御則を提案する.
また,実機実験により提案手法の有効性を検証する.
提案手法は,
適応機構を導入することにより,制御系全体に対してゲイン余裕を保証しており,
オフセットが生じないというメリットを持つ.
一方,制御Lyapunov関数を用いた制御系設計においては,
これまで入力制約がノルム制約の形の場合のみが対象とされていた.
しかし,例えばプレフィードバックを用いた制御系設計に見られるように,入力制約が必ずしもノルム制約で与えられるとは限らない.十分条件としてノルム制約を考えることはできるが,
これでは保守性の高い制御系設計となってしまう.
そこで本研究では,ノルム入力制約を持つ非線形システムに対して提案された喜種らの
制御系設計法を,入力が一般の凸入力制約を持つ非線形システムに対して拡張した制御則を提案する.さらに,提案した制御則の連続性およびロバスト性についても議論する.
最後に,提案手法を磁気浮上系に適用し,有効性の確認を行う.