動線データに基づいた個人識別と人間関係の視覚化への応用

小林純也(0651037)


近年,オフィスワークにおける生産性を向上する方法が求められている.その ために組織における個々の人物の状況を把握することは,それぞれの人物が組織 内において適切な環境にあるかを知る上での一つの指標として重要な情報である.

一方,室内環境における人間の位置情報を獲得する研究は,これまでに広く行わ れており,カメラやレンジセンサなどを用いることで,単一のシステムで複数の 人物の位置を高い精度で獲得することが可能となってきている.しかしながら, このような方法は非接触・非着用で環境内の複数人をトラッキングできる反面, 対象となる人物が誰であるかというID 情報を同時に判別することは困難である.

そこで本研究では,人物の動線データをもとに個人の識別を試みることで位置 情報のみからID 情報の獲得を実現する.さらに,その応用として環境内の人物 間の距離から人物同士の親密度合いを計算し,その結果を用いて人間関係の視覚 化を試み,個々の人物に着目した人間関係グラフと,対象組織全体の関係に着目 した人間関係マップの実装を行った.最後に,人物同士の親密度が実際の人間関 係を表せているか検証した結果と,個人識別を応用した場合どの程度の精度が必 要となるのか検討を行った結果について述べる.