提案手法では,各ユーザの希望巡回目的地リストを入手した上で,(i)全ての ユーザが希望した目的地を同時に巡回したと仮定したシミュレーションを行うこ とで,時刻毎の各道路,各施設の混雑状況を予測した上で,(ii)予測混雑下にお いてユーザの要望をできるだけ満足するよう,ユーザが巡回する目的地の調整を 繰り返すことでスケジュールを算出する.しかし,利用する交通流モデルに従い 忠実にシミュレーションを行った場合には,多大な計算時間を要するため,大規 模な道路網への適応が困難である. そこで,シミュレーション時に利用する交通流モデルのパラメタを調整すること で,スケジューリングに要する時間の短縮を図る.上記提案手法を計算機上に実 装し,都市部道路網を模した地図を用いて評価実験を行った結果,20,000のユー ザについて,8分程度と実用可能な時間でのスケジューリングが可能であり,ユー ザが直近の混雑情報を用いて行動した場合と比べて,提案方式ではより高い満足 度を達成できることを確認した.また,提示されたスケジュールを無視して独自 の判断で行動するユーザが出現する場合や,道路網上に逐次的にユーザが加算さ れる場合など,より現実的な環境を想定した条件設定の下においても実験を行い, 提案手法が有効に機能することを確認した.