VLIW型命令キューを持つスーパースカラプロセッサの命令スケジューリング機構

片岡晶人 (0651028)


従来手法のスーパースカラプロセッサは,高い性能を実現するために命令ウィンドウの全命令から実行可能な命令を動的に選択し,演算器に発行するという複雑な動作を1サイクルで行う.また,命令ウィンドウには,全命令に対して実行結果をブロードキャストするオペランドフォワーディング機構などの大規模な回路が必要である.このため,命令レベル並列性や動作周波数のさらなる向上は難しく,例えば8並列のようなスーパースカラプロセッサの実現を阻んでいる.本稿では,これらの機構が不要となるVLIW型命令キューへの命令スケジューリング手法を提案する.提案手法ではデコード直後にスケジューリングを行うことで,命令発行機構を簡単化する.このため,回路規模削減や動作周波数向上が可能である.FPGAへの実装の結果,提案手法は従来手法から回路規模を4.9%削減でき,動作周波数が29.4%向上することが分かった.また,RTLレベルで動作するパイプラインシミュレータによるIPCの測定の結果,提案手法は従来手法からのIPCの低下が6.2%に留まることが分かった.よって,提案手法では単位時間当たりの命令実行数で表される総合的な性能が従来手法より21.3%向上する.

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