データ損失を考慮したネットワーク型制御系の解析・設計に関する研究
大堀 彰大 (0651025)
近年のネットワーク通信技術の普及にともない,
ネットワーク通信を活用した制御系(ネットワーク型制御系)が
数多く期待されるようになった.
このような制御系において, 通信路を流れるデータの遅延, 損失, パケットの到着順
入れ替え(ねじれ)現象, ネットワークの帯域による制限などが問題となる.
これらの現象は, システムの不安定化や制御性能の劣化を引き起こす原因である
ことが知られている.
本論文では, 制御対象と補償器との間にネットワーク通信路が存在し,その通信路上
を流れるデータに対して損失のみが生じるネットワーク型制御系をあつかう.
データ損失に対して, 過去に届いたなかで最新のデータを再利用することで,
ネットワーク型制御系の設計問題は, ある種の切替え制御系の設計問題へと等価に
帰着させられる.
本発表では, その性質を利用することで,
ネットワーク型制御系に対するー設計法を提案する.
この設計法は, 切替え制御系に対する既存の安定化条件(線形行列不等式条件)を
満たす解の存在と系のサンプリング周期との関係に着目することで導かれる.
提案法の特徴としては, 従来の安定化条件を解く必要のない簡易な設計法
となっている.
なお本論文では, 制御性能も考慮したネットワーク型制御系の設計法を
提案しているが, 本発表では割愛する.