テンプレート形式の電子カルテに関するオントロジーの構築とその支援ツール
梅田 博徳(0651017)
近年,病院への電子カルテの導入により多くのデータが収集・蓄積されつつある.この蓄積されたデータを活用することで,コンピュータによる大規模な統計的研究や診断支援が可能になると期待されている.しかし,これらを実現するためには,意味的なデータの活用が可能となるオントロジーが必要である.
電子カルテのデータを入力する,あるいは蓄積するための方法の一つに,動的な入力テンプレートを用いるものがある.この動的テンプレートには主に次に示すような3つの特徴がある.すなわち,(1)テンプレートとしての表現力を高めるために,「項目−値」関係に加えて,値を入力すると下位項目が展開される階層構造を持つ.(2)テンプレート内の言葉はすべて親子関係で表現される.(3)テンプレートが実際に運用される中で,同じ概念であってもユーザの好みに合わせた様々な形のものが存在する.これらの特徴から,コンピュータが蓄積されたデータを分析・活用する場合に,簡単には意味的な処理が出来ないという問題点があった.
本研究では,この問題点を解決するために,対象をヒトの全身に関する身体所見のテンプレートとしたオントロジーを手作業で構築した.また,テンプレートの数が膨大なため,そのすべてを手作業でオントロジーとして構築することは困難であると考え,このテンプレートに関するオントロジーの構築を支援するツールを作成した.
本発表では,構築したオントロジーを紹介する.また,作成したツールについて,その簡単な仕様と手作業と比較したときの作業量について述べる.