VR技術を用いた幻肢リハビリテーションシステム
飯田 拓 (0651006)
幻肢とは,事故や壊疽が原因で四肢を切断された患者が,失われた手足がまだ存在していると感じることである.
幻肢を持つ患者の中には,幻肢部位の麻痺や異常な動きに加え,難治性の激しい痛みに悩まされる人も少なくない.
幻肢のリハビリテーション手法として神経刺激療法や薬物療法が考案されているが,
これらの手法は機材が高価であり,また患者の危険を伴う.
現在,幻肢のリハビリテーションで効果をあげているものとして,
鏡を用いて視覚と体性感覚の不一致を引き起こし,脳の可塑性を刺激する
ミラーボックス療法がある.
しかし,ミラーボックス療法では身体を拘束されるなどの問題があり,治療部位に制限がある.
本研究では,鏡の代わりにVR(Virtual Reality)を利用するリハビリテーションシステムを提案する.
まず,鏡像の代わりにCG(Computer Graphic)を利用するにあたって,
CGにより視覚と体性感覚の不一致を引き起こすことが可能であるか検証を行い,
VRの有用性を確認した.
カメラとマーカーにより肢体の位置や角度の取得を行い,
取得した位置や角度に応じたVRをディスプレイ上に提示するシステムを提案する.
提案システムを被験者に体験してもらい,体性感覚に影響を及ぼすことが可能であるか
実験を行い,本システムの有効性について考察を行った.
被験者に健常肢の動きを移動量を変更して提示することで,
CGをただ提示する以上の影響を体性感覚に与えることが可能であるという結果を得た.