ホームネットワークシステムにおける機器/サービス操作のためのユーザの注視情報の利用
三井 康平 (0551119)
ホームネットワークシステム(HNS)は,家庭内ネットワークに様々なネット家電やセンサを接続し,
ユーザに便利で快適な付加価値サービスを提供するシステムである.
HNSでは,偏在的に存在する機器やHNS特有の多様な連携サービスを効果的に操作するため,
従来のリモコンの限界を補完する新たなユーザインタフェースが求められている.
本発表では,HNSの新たなインタフェースとして,ユーザの視線を適用することを提案する.
具体的には,操作したい機器を「見る」だけでその機器を操作する視線インタフェースの実現を
目指す.しかしながら,こうした視線インタフェースは単純かつ直感的である反面,
(a) 1つの機器に1つの操作しか対応づけられない,
(b) 複数の機器を使うサービスや機器を使わないサービスに関連づけにくい,
(c) 機器の境界付近を注視する際,注視判別の結果が振動し,操作の確実性が低下する,
という実用上の課題が存在する.
そこで本発表では,視線コンテキスト,メタファパネル,および複数閾値判別機を導入
することで,これらの問題の解決をはかる.
視線コンテキストとは,ユーザの注視情報に対して,誰が,いつ,どこからという付帯状況を
付加した情報である.これを用いることで,1つの機器に条件に応じて複数の操作を対応づけることができる.
メタファパネルは,サービスを連想するオブジェクトが描かれたパネルであり,
特定の機器に直感的に結びつかないサービスを視線で制御するために用いられる.
また,複数閾値判別機は,ユーザが機器を注視しているか否かを複数の注視率の閾値を用いて
滑らかに判別し,閾値付近の判定結果の振動を抑える.
提案手法に基づいて視線インタフェースを開発し,運用中のHNSに設置した.
10人の被験者を対象にユーザビリティテスティングを行い,提案手法の有効性を評価した.