発現プロファイル解析とバクテリア必須遺伝子との配列解析による Arabidopsis thaliana必須遺伝子の推定

和田眞昌


シロイヌナズナは植物研究のモデル生物として多様な実験条件においてそのシステムの研究が行われている。それらの遺伝子発現を解析する研究はGeneChipにより多くの知見が得られるようになった。このような多くのGeneChipのデータを統合することにより、どのような実験条件下でも似たような発現が見られる共発現遺伝子は強い関連性を持つことが期待できる。また、そのような関連性をある生物の遺伝子全体において見ることは生物のシステムを理解する一つの指標となると思われる。また、植物ゲノムは多コピーに富み、その遺伝子の機能予測は困難であるが既知のバクテリアで必須とされるオルソログ遺伝子と対応を見ることにより植物の必須遺伝子の推定が可能と考えられる。 本研究は、シロイヌナズナとバクテリアのオルソログをもとに解析を行った。そして、公開されているGeneChipデータベースより得られるシロイヌナズナで行われた実験での発現解析データのシグナルを元に有効な補正を行った後、個々の遺伝子、遺伝子間の相関係数出し、それを元にグラフクラスタリングを行った。その結果、得られたクラスターから遺伝子の発現に非常に強い相関を持っている遺伝子が数多くある事がわかった。またバクテリアの持つ遺伝子とオルソログ関係にあった遺伝子においても特徴が見られた。またそのような強い相関の見られるクラスターの内容を見るとシロイヌナズナにおいて、同様の機能を持つが制御されている発現傾向の違う遺伝子がクラスター中に特徴的に現れたものがあった。