DNAチップ産業の動向調査 〜その成長と応用分野の展開〜

和田 千穂 (0551149)


DNAチップでは、多種の分子間の反応を同時並行的に行うことが可能である。すなわち、ハイスループットな検出・解析が実現できることを特徴とする。近年、DNAチップに関連した産業が急速に立ち上がり、急激な成長を見せている。そこで、本研究ではDNAチップ産業がどのように成長・発展してきたのかについて調査研究を行った。本研究での着目点は次の二点である。 まず、DNAチップ産業の成長についての法則性に則する知見を得ること、次に、 DNAチップ産業が拡大してきた様子を調査してその特徴を調べることである。

本研究では、まず、DNAチップ産業における成長法則について調査した。 半導体産業を参考にして、シーズとニーズが互いに影響しあって共に発展する(フィードバックモデルとする) との仮説を立てて、検証を行った。半導体産業では、このモデルが成立しており、その成長法則は ムーアの法則(およそ18ヶ月で半導体チップの集積度が倍になるという経験則)として知られている。 DNAチップ産業でもムーアの法則に似た法則性を持つことが考えられる。この仮説を検証するため、 シーズ・ニーズの成長について調べ、成長が指数関数的であること、及び シーズ・ニーズ双方の成長が同調すること を確かめる必要があった。 そこで、 シーズ面とニーズ面それぞれで、DNAチップの成長 について調査した。 その結果、シーズ面では1チップ上のプローブ数、及びプローブの大きさを示すFeature sizeの いずれも1年前後で2倍に成長していることを確認した。また、ニーズ面では、関連文献の増加について調べ、1年前後で2倍に成長していることを確認した。よって、DNAチップ産業にも、ムーアの法則に似た法則性があることが検証され、DNAチップ産業もフィードバックモデルで記述した仮説が検証された。

次に、学術研究の動向に注目した。DNAチップ産業自体の拡大の様子を知るため、 DNAチップ関連論文中で被引用回数の多い論文(コア論文)を抽出し、それらの間の引用・被引用関係を調査した。 調査の結果、 コア論文同士の関係性、すなわち、 引用・被引用関係が資料として得られた。