本研究では、まず、DNAチップ産業における成長法則について調査した。 半導体産業を参考にして、シーズとニーズが互いに影響しあって共に発展する(フィードバックモデルとする) との仮説を立てて、検証を行った。半導体産業では、このモデルが成立しており、その成長法則は ムーアの法則(およそ18ヶ月で半導体チップの集積度が倍になるという経験則)として知られている。 DNAチップ産業でもムーアの法則に似た法則性を持つことが考えられる。この仮説を検証するため、 シーズ・ニーズの成長について調べ、成長が指数関数的であること、及び シーズ・ニーズ双方の成長が同調すること を確かめる必要があった。 そこで、 シーズ面とニーズ面それぞれで、DNAチップの成長 について調査した。 その結果、シーズ面では1チップ上のプローブ数、及びプローブの大きさを示すFeature sizeの いずれも1年前後で2倍に成長していることを確認した。また、ニーズ面では、関連文献の増加について調べ、1年前後で2倍に成長していることを確認した。よって、DNAチップ産業にも、ムーアの法則に似た法則性があることが検証され、DNAチップ産業もフィードバックモデルで記述した仮説が検証された。
次に、学術研究の動向に注目した。DNAチップ産業自体の拡大の様子を知るため、 DNAチップ関連論文中で被引用回数の多い論文(コア論文)を抽出し、それらの間の引用・被引用関係を調査した。 調査の結果、 コア論文同士の関係性、すなわち、 引用・被引用関係が資料として得られた。