Familyに特異的なフラボノイドの多様性の解析
坂口 峻一 (0551145)
二次代謝産物は生物種に種特異的に高い多様性を有している。このことからChemotaxonomyの分野における生物の分類指標として二次代謝産物が利用されてきた。しかしながら従来のある数個の二次代謝産物に注目した分類では、生物間に差異があるかどうかを調べることはできるが、生物種に特異的な二次代謝産物の多様性の特徴を解析することができなかった。そこで、本研究では一分野のほぼ全ての二次代謝産物を使って解析することで、生物種に特異的な二次代謝産物の多様性の特徴を解析することを目的とした。本研究では植物に特徴的な二次代謝産物であるフラボノイドを、多様性が最も顕著に見られるとされている生物系統のfamily(科)で分類し、代謝経路とフラボノイドの基本骨格の多様性の分布を、統計手法である対数尤度比検定を用いて評価した。さらに、詳細なfamilyとフラボノイドの多様性を評価するために、フラボノイドの側鎖を考慮した主成分分析を用いて、familyと側鎖の多様性を解析した。その結果、フラボノイドの基本骨格ごとにfamilyの構成に特徴的な偏りが見られることが明らかになった。さらに、主成分分析によってfamilyごとに特徴的な側鎖の分布が明らかになった。特徴的な分布を分けている要因を検証したところ、要因となっている側鎖がさらに複雑な化学構造を構成するための基点となる側鎖であることが示唆された。これにより、familyごとに特異的なフラボノイドを生合成するための代謝経路の推定につながる可能性が示唆された。