近年，壁画や絵画，染織物などの文化財の色や形状などの外観情報をデジタルデータとして保存しようという試みが盛んに行われるようになってきている．これらの色情報を保存する場合，RGB値ではなく，照明や計測機器に依存しない分光反射率を計測することが望ましいが，高解像度の精細な情報を残そうとする場合，対象物体を小領域ごとに複数回に分けて撮影する必要がある．
本研究では，これら複数の分光反射率画像データをつなぎ合わせ，分光画像の分析を支援するアプリケーションを提案する．まず，計測された高次元のスペクトル画像データに対し，主成分分析をかけることで低次元の主成分得点画像を求める．その後，各主成分の固有値によって重み付けされた誤差関数を用いてブロックマッチングを行い，二枚の画像間の対応点を求める．求まった対応点からヘルマート変換に基づいてパラメータを求め，画像の結合を行う．
提案手法の有効性を示すため，複数回に分けて実際にスペクトルカメラで撮影された分光画像データの結合を行った．結合された画像について，結合部の精度および分光反射率の検証を行い，本手法の有効性を確認した．