無線マルチホップネットワークにおける通信品質の改善

宮城 安敏 (0551122)


近年,ホームネットワークにおける次世代の無線LAN技術としてマルチホップ無線LANを用いた映像や音声などのデータ転送への要求が高まっている.映像転送や音声通話には高いスループットと品質保証(QoS)が要求される.しかし,無線マルチホップ環境では全ての端末に平等に通信の機会が割り当てられるため,映像や音声などのリアルタイム通信を高品質に行うことは難しい.マルチホップ無線LANにおいてQoSを実現するためにはEnd to Endの通信品質保証や,フローの不公平など様々な課題が存在する.End to Endの通信品質保証技術として,IEEE802.11eなどの無線LAN規格が存在するが,マルチホップを考慮したQoSの実現には不十分である.また,無線LANにおける公平性問題はMAC層に大きく影響されるため,リンク層における解決策が中心である従来の有線LANにおけるフロー公平性問題解決手法だけでは不十分である.
本論文では,現状の無線マルチホップ通信における問題点と解決手法の整理を行う.また,調査した論文における評価方法の整理を行い,今後の無線マルチホップネットワークにおけるQoS保証を行うための指針を述べる.