[18F]F-Dopaを用いたPETデータ解析の高精度化に関する研究

松原佳亮 (0551114)


ポジトロン核種で標識した放射性薬剤を投与し,薬剤の放出する放射能の 分布画像を取得するPET(Positron Emission Tomography,陽電子断層撮影装置) と[$^{18}$F]F-Dopaを用いてDopamine系の機能異常を調べ,その結果を Parkinson病の診断に利用する試みが数多く行われている.また,それらの試み ではPETで得られたデータに対して[$^{18}$F]F-Dopaの代謝経路に基づいたモデ ルを仮定して生理学的パラメータを推定し,それを評価指標として用いている. しかし,そのようなパラメータには[$^{18}$F]F-Dopaの比放射能が低いこと, 及び,[$^{18}$F]F-Dopaの代謝経路が非常に複雑であり,それを解析では仮定 により簡素化してしまっていることに起因する誤差・バイアスが生じている可 能性がある.本研究では解析で得られるパラメータに影響するそれら2つの問 題に対して,1)高い比放射能の得られる合成法の検証,2)より詳細に薬物 動態を記述したモデルに基づくシミュレーションを用いた動態解析モデルにお けるバイアスの検証というアプローチで取り組んだ.合成法の検討ではBergmanらの[$^{18}$F]F$_{2}$合成法について分離精 製を省略することができ,かつ,生成効率をさらに向上できるような方法を検討 し,それに基づいて合成装置を組み立て,得られる[$^{18}$F]F$_{2}$の比放射 能を算出した.またバイアスの検証については どのパラメータが推定計算結果のバイアスに大きな影響を及ぼすかを調べ,その 結果を基に各モデルの評価を行ったので,これらについて報告する.