特徴点群追跡による人物部分領域のパン・チルト観測

牧野 明 (0551111)


対象にズームアップした状態での追跡撮影により、移動対象のより高精細な 画像を継続的に取得することができる。本研究では、画像中に大きく撮像さ れた部分領域の追跡問題に焦点を当て、ズームアップした状態で画像中に大 きく撮影された人物の部分領域(頭、前腕、手など)を追跡する手法を提案す る。

従来の対象追跡手法は、対象領域全体を1つのモデルで表現している。しか し、対象領域全体を1つのモデルで表現すると、対象領域と同じテクスチャ をもった近接領域との誤追跡を避けることは難しい。そこで本研究では、こ の近接類似領域(同じ着衣の前腕と上腕など)との誤追跡を避けるため、対象 領域上に存在する特徴的な点の集合を追跡対象とみなし、対象領域を追跡す る。このように特徴的な点のみに注目することで、領域全体の評価では目立 たない近接類似領域との差異を得ることができる。本手法ではさらに、パー ティクルフィルターを用いた確率的アプローチにより実現することで、追跡 の安定性を確保する。さらに、ランダムサンプリングを用いたロバスト推定 手法を用いた外れ点除去により、リアルタイム性を確保したまま、遮蔽に対 応したロバストな追跡を実現している。

提案手法の有効性を示すために、人物の部分領域にズームアップした動画像 を用いて追跡実験を行った。実験では、遮蔽を含んだ部分領域の動作を対象 とすることで、遮蔽に対する安定性も確認した。