GCコンテント分布計測を用いたDNAの一分子解析

藤本 知之 (0551107)


ゲノムDNA上でGCコンテントの一次元分布は一様ではない. この特徴を利用することで,一分子イメージングしたDNAを 識別できると考える.GCコンテント分布を使用することで, 既存のPCR法や電気泳動法,Fiber FISH法などを用いず高速で簡便な DNAの同定が期待できる. そこで,GC選択的及びDNA一様に蛍光染色したDNAをガラス基板上に 伸張固定し,エバネッセント顕微鏡を用いて一分子イメージング することでGCコンテント分布を取得した.しかし,基板上に 伸張固定したDNAのGCコンテント分布は,単位長さあたりの塩基数 に差異があるため, 既存の塩基配列情報より算出した理論的なGCコンテント分布と, 必ずしも相関が高くない問題がある.

この問題を解決するために,DNA一様に蛍光染色することで 得た画素値分布は,DNAの単位長さあたりに含まれる塩基数を 反映していると仮定し,長さ補正による正規化手法を考案した. 本発表では,正規化手法をλDNAに適用した結果と塩基配列情報より 算出したGCコンテント分布の理論値を比較し, 相関係数の向上により有効性を確認した結果について紹介する.また他のDNAとも 相関の比較を行うことで,GCコンテント分布によるDNAの同定を試みたので 合わせて報告する. さらにDNAの同定精度を高めるためには,計測値と理論値との相関を より向上させる必要があることから,DNAと蛍光分子相互の特徴が分かれば,それを用いた 補正も行える点に着目した.計測したデータ間比較により λDNAの位置により蛍光分子の結合のし易さに違いが見られるかに ついて検討を行った結果についても報告する.