定量的管理を取り入れた開発プロセスのテーラリング方式
伏田 享平 (0551106)
ソフトウェア開発プロセス改善策の一つとして,定量的に測定されたデータに基づく指標を利用したプロセスの管理(定量的管理)が注目されている.定量的管理を考慮してソフトウェア開発計画を立案する際には,指標や測定するデータについて理解し,プロジェクトの特性を考慮してデータの測定・分析活動を開発計画に組み込む必要がある.現在,これらの作業については手順が明確に定義されておらず,開発計画立案者の経験に大きく依存している.また,プロジェクト実行時に指標がどのように利用されているか,利用された指標がプロジェクト管理に有効であったかは評価されていない.
本研究では,まず国内のソフトウェア開発組織における定量的管理の実態を調査した.その結果,多くの指標が有効に活用されている一方で,プロジェクトの状況によっては有効に活用されていない場合や,プロジェクトの実態に合わせて調整を行った上で指標を利用していることを確認した.次に,定量的管理を取り入れたソフトウェア開発計画立案のためのフレームワークを提案した.提案フレームワークでは,定量的管理に用いる指標の利用に必要な定量データの測定・分析活動の調整作業に関して,体系的な枠組みを提供する.また,提案フレームワークのもとで,プロジェクト計画の立案をより容易に行えるよう支援を行うシステムを提案し,試作を行った.