音声情報案内システムの応答選択におけるスコアリング手法の改善と閾値を用いた棄却処理の導入

早川直樹 (0551098)


近年,大語彙音声認識の高精度化に伴い実環境下での音声インタフェースの応用が注目されている.我々が運用している用例ベースの音声情報案内システム「たけまるくん」は,ユーザ発話とユーザの質問を想定して作成した質問用例文とのマッチング処理により応答文選択を行い概ね良好に動作している.

しかし,質問用例文に適切な文が存在しているのにも関わらず,マッチング処理の問題で適切な応答文が選択されないことや,質問用例文にないタスク外発話がなされた場合には誤った応答を選択し対応できないことがある.

そこで本発表では,形態素マッチングの精度を改善するために,音声認識結果である入力文形態素数と質問用例文形態素数の最大値を用いて正規化するスコアリング手法を提案する. また,適切な質問用例文が存在せず誤った回答を行った場合には用例とのマッチングスコアが低くなる傾向があった. スコアの分布を応答文選択の正解,誤り別に入力長との関係から調査し,設定した閾値未満のスコアしか得られない入力に対しては一律に棄却を行う戦略を提案し,システム応答能力がどう影響を受けるかを調査した. 応答性能実験より,スコアリングを改善することで対話システムの応答正解率が大きく向上することを確認した.また,閾値評価実験では,閾値を導入することにより多くのタスク外発話による応答や誤った応答を棄却し削減することができた.これらの2つの評価を行うことにより提案手法の有効性が示せた.