キーワード
喉頭摘出者,音声コミュニケーション,電気式人工喉頭,音源,NAMマイクロフォン,統計的声質変換
発表梗概
音声は人間の最も基本的なコミュニケーション手段の1つとして古くから用いられてきた.
しかし,一般に発声障害者と呼ばれる人達は満足に発声ができず,従って音声コミュニケーションに対して重大な障害を患っている.
本研究では,発声障害者の中でも喉頭癌等により喉頭を除去された喉頭摘出者と呼ばれる人達を対象とする.
そこで本発表では,喉頭摘出者についてその解剖学的特徴を健常者と比較する.
喉頭摘出者は一般に自身の声帯を失っており,何らかの方法で音源を得る必要がある.
そこで,本発表では喉頭摘出後の発声法について利点と欠点を相互に比較しながら概観する.
本研究では複数の発声法の中でも,電気式人工喉頭に代表される器具を用いた発声法に注目する.
この発声法は最も習得が容易な発声法の1つであるが,声帯振動を電気的に模擬しているため,器具を用いて発声した音声(人工音声)は非常に機械的であるという問題がある.
また,通常音声と同程度の大きさで発声しようとすると音源の音が大きくなってしまい,周囲の者に不快感を与えるという問題もある.
そこでこれらの問題点をより明確にするために,会場で発表者が実際に電気式人工喉頭を用いて発声のデモンストレーションを行う予定である.
このような問題を解決するため,本研究ではこの人工音声をより自然な音声に変換することによってスムーズな会話の実現を目指すシステムを提案する.
本発表で述べる提案システムは,以下の基本構成から成る.