気泡運動を反映した液体のCGと効果音のリアルタイム生成

仲野 嘉信 (0551093)


近年,コンピュータの飛躍的な性能向上に伴う大域照明計算や物理シミュレーション計算の高速化によって, 多様に変化する液体のCGをリアルタイムにレンダリングすることが可能となっている. しかし,液体のリアルタイムCGに対する効果音の作成は, 多様に変化する液体の全ての振る舞いに対応した効果音を事前に作成しておく必要があり, 全ての効果音を手作業で再現性高く作成するのは困難である. 液体では,液中に含まれる気泡の運動により音が発生しており,その音は液中の気泡半径に従う. そのため,液体の効果音は液中の気泡半径に従い生成する必要がある.

本論文では, 粒子法の一種である Smoothed Particle Hydrodynamics(SPH) を拡張し, 液体と気体を構成する2種類の粒子を導入することで気泡を伴う液体を表現する手法を提案する. さらに,液体のCGに対する効果音をCGの描画と同期させて出力する手法について提案する. 本手法は, SPH の近傍探索用格子を用いて,生成されている気泡数を判別し, さらに,その気泡サイズから固有振動周波数を求めることで, 液体のCGに対する効果音を自動的に生成することが可能である. 提案手法は,気泡運動を反映した液体のアニメーションと効果音を実時間で生成することを可能としている.