多層パーセプトロンによるパターン識別に適した特徴抽出器の再学習
殿谷 徳和(0551089)
高次元データの判別を行う場合、特徴抽出を行いデータの主要な部分を使用して
判別することが一般的である。特徴抽出を行う理由は、高次元データを低次元の
特徴空間に射影することで計算量を削減することができるからである。ここで、
判別に有用な特徴抽出器が必要となる。特徴抽出法の中で最もよく使用されてい
る手法として、主成分分析(PCA)が挙げられる。しかし、PCAは、元のデータを
低次元で表した時の情報量を最大化する特徴抽出空間を構成するが、一般にその
特徴空間が判別に適しているとは限らない。
そこで本研究では、判別に適した特
徴抽出器の学習を目標とする。具体的には、特徴抽出器と判別器の同時学習を3
層パーセプトロンによって行う。但し、高次元データに対する高次元特徴抽出器
の学習は、一般的に局所解にトラップされる問題がある。そこで本研究では、パ
ーセプトロンにおいて特徴抽出を担っている入力層と中間層の結合パラメータに、
予めPCAでえられた主成分ベクトルを初期値として与えることとした。人工デー
タおよび顏画像データを用いた計算機実験の結果、判別率が高くなることが確認
できた。また、その原因が、特徴抽出器の改善であることも確認できた。