時間と位置を考慮したオーバーレイネットワークの実装と評価

洞井 晋一(0551088)


センサ機器の発達と低価格化により、高精度なセンサデータを高密度で収集することが可能である。
このようなセンサデータを広域ネットワークを介して共有することにより、
環境問題への取り組みやビジネスへの応用などが期待できる。
本研究ではセンサデータを効率よく利活用可能とすることを目的とし、
時間や位置の連続性・局所性を考慮したオーバーレイネットワークを提案する。
センサデータを扱うためには時間や位置などの連続量を扱え、かつ時間の周期性も考慮する必要がある。
しかし、代表的なオーバーレイネットワークであるDHTでは、
ハッシュ関数に基づいたデータ管理を行っているため完全一致検索しか行えず、
時間や位置などの連続量の範囲検索を行う場合、時間・位置に応じて個別のクエリが大量に発生すると考えられる。
本論文では時間に対してセンシングデータを集約することで時間範囲や時間周期を考慮した
データ取得が可能なオーバーレイネットワークを提案する。
提案手法を評価するために複数の計算機を用いたシミュレータを作成した。
シミュレーションを行った結果、時間範囲を指定したデータの取得時に約28%の時間を短縮し、
時間周期を指定したデータの取得時では約55%の時間を短縮した。