プロジェクト類似性に基づく工数見積もりに適した変数選択法
瀧 進也 (0551078)
ソフトウェア開発プロジェクトの完遂に要する工数を正確に見積もるため,プロジェクト間の類似性に基づく見積もり方法の研究が進んでいる.しかし,少ない計算量で効率的に変数選択を行う方法はまだ提案されていない.ここでの変数とは,見積もり対象である目的変数(工数)と目的変数を見積もる際の根拠となる説明変数(開発規模など)のことであり,変数選択では説明変数の中から見積もりに有用でないものを削除する.本論文では,類似性に基づく見積もり方法に対する効率的な変数選択法として,工数と相関が小さい説明変数を除去するCorrelation Based Selection(CBS)を提案する.提案手法は,データ内の各説明変数について工数との相関係数を計算し,除去の基準となる閾値を探索する手法であり,必要となる計算量が非常に少ない.ソフトウェア開発企業で収集された3種類のデータを用いた評価実験の結果,提案手法は従来手法と比べてデータの持つ特性にあまり左右されず安定して見積もり精度を改善することができた.また,実験結果に対して分析を行い,変数選択が上手くいかなかったケースについてその原因を調査した.