膜タンパク質の電子顕微鏡画像からの 膜貫通ヘリックス同定方法に関する研究

齊藤 理 (0551058)


実験的に立体構造を決めるのに困難な膜タンパク質の構造・機能解析を行う方法が強く 望まれている.この意味で電子顕微鏡画像は有効なデータであり,近年,その数が増加し てきている.我々は,電子顕微鏡によって得られる低分解能の膜タンパク質の二次元画像 の概形を基に,膜貫通へリックスの並進配置を同定する方法が構造機能解析の上で友好と 考える.そこで本研究では,立体構造既知の膜タンパク質の二次元電子密度マップを用意 して,膜貫通へリックスの並進配置の妥当な結果を与える計算力場を構築し,ポテンシャ ルの最適化により,並進配置を同定することを目的とする.相互作用を与える力場を構築 するため,膜貫通ヘリックスの並進配置を与える様々な擬似ポテンシャルのモデルを作成 した.モデルはシミュレーテッドアニーリングにより,探索した結果と実構造を比較する ことで有効性を検証した.7回貫通型のロドプシンを用いて検証した結果,実構造と予測構 造の膜貫通ヘリックス軸のRMSDとポテンシャルエネルギーとの間に0.30の相関が得られ, 改良したポテンシャルの有効性が示せた. ここに発表梗概を書く。