入力制約付き非線形システムに対する非線形H∞制御 -局所入力-状態安定化可能制御Lyapunov関数に基づく逆最制御-

近藤 正啓 (0551056)


本発表では, 実存する非線形システムが抱える入力制約と外乱減衰問題を同時に扱って有効な制御を行うことを目的として, その足掛かりとして入力制約が存在し, ある空間に外乱が収まる入力, 外乱についてアファインな非線形システムを考え, 外乱に対してロバストで入力制約を満たす制御則を設計し, 数値シミュレーションによりその有効性を検証するとともに, 新たな問題を提起する. 実在する制御システムの多くは非線形で, アクチュエータ性能の限界や対象保護といった目的から, 入力には制約が存在する. また, 制御を行う際には一般に外乱が存在し, 外乱の存在を考慮せずに設計した制御則では系の不安定化など予期しないことが起こりうる. 過去の研究では, 上限が1未満という入力制約を持つ非線形システムに対して制御則が設計されている. しかし, 外乱に対する安定性は保証されていない. 一方で, 大域的な漸近安定性を保証するISS-CLFが与えられているという仮定の下で, 非線形システムに対する外乱減衰問題も研究され, 外乱に対してロバストな逆最適制御則が提案されている. しかし入力制約が存在する場合には, このような大域的な漸近安定性を保証するという仮定はシステムが強い安定性をもつことを要求し, 一般的な議論は難しい. 入力に制約が存在することで, 逆最適設計において新たな条件も考慮しなければならない. そこで本研究では, 特殊なシステムを要求するのではなく, 外乱がある空間に収まり, また有限時間で零に収束するという条件をとる. またLocal ISS-CLFが与えられているという仮定のもとで, 入力制約を満たしながら外乱に対して安定性を保証する逆最適制御則の設計を行い, 目的の制御を行う.