音声情報案内システムにおける質問応答データベース最適設計
木田 学 (0551041)
実環境で稼動する質問用例ベースの音声対話システムでは,想定される対話事例を自然言語で記述した質問応答データベース(QADB)を適切に設計することが重要である.音声対話システムの応答生成部は,知識源であるQADBの精度に強く依存している.ユーザが知りたい情報を提供するためには,多様な文章表現が持つ自然発話に適応できる頑健なQADBを設計することが欠かせない.しかし,人手で先見的知識により構築されたQADBでは質問応答(QAペア)が十分でなく,その評価が必要である.
本発表では,実環境下で収集した発話データを元にして,QAペアの追加と言葉のゆらぎに対応するゆらぎ語彙の追加を行い,学習データの応答正解率に基づいてQADBを最適設計する手法を提案する.評価手法として,雑音や背景会話などを除く有効発話のみを対象としたテストセットについて応答選択実験を行い,応答正解率を算出しQADBを評価した.
実験より,既存の音声対話システムのQADBの応答正解率は大人68.5%,子供52.5%であった.提案手法により,10%程度の性能向上がみられ,自然発話に対して頑健なQADBを最適設計できることが分かった.