IEEE802.11b用マルチパス遅延等化器のハードウェア規模削減に関する研究
賀川 圭介 (0551033)
企業や家庭において物理的配線にとらわれず
レイアウト構成を柔軟に変更可能にする無線LANが近年普及している.
中でもIEEE802.11b規格は最も普及率が高い規格である.
無線LANや携帯電話に代表される高速デジタル無線伝送系では,
マルチパスフェージングによる伝送特性の劣化が大きな問題となる.
特にマルチパスによる伝搬遅延時間の広がりに起因するパルス波形の歪は
高速デジタル伝送時の大きな問題となっている.
耐マルチパスフェージングの技術としては,
適応等化器が効果的である.
しかし, 適応等化器の実装においては,フィルタのタップ係数更新を行う制御において高精度の数値計算が必要となるため,
ハードウェア規模が大きくなってしまうという問題があった.
そこで本研究では適応等化器のハードウェア規模を削減するため,所要フィルタタップ数および演算語長を明らかにする. ここではLMS (Least Mean Square)等化器をIEEE802.11b規格の無線LANに実装し,フィルタタップ数の最小化を行う. また,タップ係数更新制御における数値計算の丸め誤差の影響を検討することで所要受信品質を満足する最小の演算ビット精度を求める.