エネルギー効率に優れた周期運動に対するパワーアシスト制御手法の研究
大谷真司(0551026)
近年,ロボット技術の応用のひとつとしてパワーアシストが注目されている.
「人間の力を機械の助けによって増幅する」という観点からは,
人間の印加する力の瞬時値を動力によって倍加するのが
最も素朴な実装方法と考えられるが,対象が特定のパターンに沿って運動する場合,例えば
周期運動する場合には,運動の周期性に注目することによって,より効率のよいアシストが実現できる可能性がある.
本研究では,周期運動するシステムの代表的な例として電動アシスト自転車を取り上げ,
そのパワーアシスト機構の制御法を工夫することによりエネルギー効率の向上を図る.
自転車はその構造上,人間が印加する踏力が周期的に変化するため速度が脈動する.ところが,現在パワーアシスト自転車で主として用いられている踏力比例制御は
その脈動を増幅する制御手法となっており,エネルギー効率の面で不利と考えられる.そこで本論文では,パワーアシスト機構の制御法として速度の脈動を除去する
制御法を2つ提案する.
第一の方法が繰り返し制御理論を応用した制御手法であり,2番目がH∞制御理論を用いた制御手法である.
それぞれの理論的側面について述べた後,数値シミュレーションによってその効果を確認する.そして実車を用いた実験により有効性を検証する.