時系列マイクロアレイにおける解析手法の提案〜RSI法の開発〜
伊藤 遼佑 (0551010)
二色蛍光マイクロアレイは、遺伝子全体の発現変化をダイナミックに捉えるツールとして精力的に研究が行われている。
この技術は、転写産物の絶対量を定量化するのには不向きだが、適切なコントロールサンプルとの対比により、大量の遺伝子に対してその相対変化量を包括的に求めることができる。
通常、二色蛍光マイクロアレイで多変量のデータを作成する場合、変量間の比較を容易にするためにコントロールを固定して対数比により評価する。
しかし、この実験デザインは、遺伝子発現の変化を連続的に追っていく時系列データを得たい時、精度を落とし望ましくない。
本研究では、コントロールを固定するデザインの欠点を大腸菌野生株の時系列マイクロアレイデータを用いて実験的に示した。
また、遺伝子発現の連続的な変化をより精度よく測定するために、コントロールを直前の時系列の点にとるマイクロアレイデータを作成し、前述のデザインよりも精度の高いデータが得られることも示した。
また、両デザインに基づくデータを統合する手法(RSI法:Reference-Sequential Integration Method)も考案した。