事態間関係の獲得のための国語辞典動詞語釈文の構造化

青山桜子 (0551001)


事態間の含意関係を認識する技術は、質疑応答や情報抽出、機械翻訳など、 広範囲の言語処理アプリケーションにおいて重要な役割を果たす。 本発表では事態間の関係の自動獲得が近い将来実現することを信じ、 そのための資源として有用な知識を抽出するために、国語辞典の動詞語釈文を構造化した過程を報告する。 たとえば、見出し語「畳む」の語釈文「広がったものを折って小さくする」から「Xを畳む-Xが広がっていた(前提条件)」 「Xを畳む-Xを小さくする(上位・同義)」のような関係が得られる。 我々は、このような動詞見出し語と語釈文中の述語の関係を、 (a)述語が持つ項の対応関係、(b)関係のクラス(上位・同義、前提条件、結果状態、目的など)、 の情報とともに人手で抽出する作業を進めた。  本発表では、我々が提案した事態間関係の定義、タグの仕様、タグ付けツール「KinakoChan」の概要、 作業者間の一致率などについて報告し、作業時の問題点、今後の展望を述べる。