LactobacillalesとEnterobacteriaceaeにおける遺伝子の進化履歴
渡辺 勝
(0451137)
近年シークエンス技術の進展により、微生物から高等生物に至るまで、多くの生物で全塩基配列が決定されている。増加するゲノムデータに含まれる大量の情報をバイオマティクスの技術を駆使して解析するで、今までにない新しい研究が遂行されつつある。細菌はポイントミューテーションだけにとどまらず、遺伝子伝播や遺伝子重複、遺伝的交配などの様々な方法で進化を繰り返してきた。中でも薬剤耐性やホストの免疫機構からの回避等の迅速な環境への適応は、点突然変異というよりはむしろ、相同組換えや遺伝子伝播等による新機能や新たな遺伝子の急激な獲得により達成されていると考えられる。これら細菌におけるゲノム配列を比較解析することで、進化の履歴に関する多くの情報を得られると期待できる。本解析では、すでに公開されている細菌のゲノム全配列をもちいて、ゲノム上にコードされている遺伝子個々の進化の過程を明らかにし、バクテリアのゲノム配列がどのような過程で構築されてきたのかを議論することを目的としている。