円筒鏡を用いた三次元形状計測システム
浦西友樹 (0451018)
本論文では,物体の三次元全周形状を一回の撮影で計測する,円筒鏡を用いた形状計測システムを提案する.
物体の三次元形状を計測し,計算機上に三次元モデルとして復元する手法は,
計算機上で自由な角度から物体の三次元モデルを閲覧でき,様々な分野への応用が考えられる.
このような用途に用いるためには,物体の全周を計測して得られた全周モデルであることが望ましい.
従来手法は,様々な位置や角度から物体の部分的な形状を計測し,
最終的に統合することで物体のモデルを得ている.
このとき,部分形状の統合処理において誤りが発生したり,システムの構成や計測の手順が複雑化する問題がある.
また,動物など,動きがある物体の全周形状を計測することは極めて難しい.
本論文で提案するシステムは,内部が鏡面の円筒とカメラを用い,ステレオ視により三次元形状を計測する.
内部が鏡面となっている円筒内に計測対象を置き,魚眼レンズを装着したカメラで対象を上から撮影することで,
物体周囲のすべての方向から,カメラから直接見える像と円筒鏡の内部で反射した像を一度に観測できる.
これは,実カメラと仮想カメラを用いて,物体上のある一点を複数の視点から同時に観測していることに等しく,
ステレオ視を用いて,一枚の画像から点の奥行きを計算できる.
本稿では,仮想物体を撮影したシミュレーション画像と,プロトタイプシステムによる実測画像を用いて,実物体の三次元形状計測を試みた.
実験結果より,提案システムで計測可能な範囲や形状についての考察を行った.