エバネッセント顕微鏡を用いた細胞内蛍光分子の3次元分布計測システムの開発

小谷俊彰 (0451133)


エバネッセント顕微鏡(全反射蛍光顕微鏡)は全反射角以上の角度で光を入射した時に基板上で生じるエバネッセント場を利用して、蛍光分子を励起する蛍光顕微鏡である。エバネッセント場の光強度が基板面から離れるに従って急激に減衰することを利用して、バックグラウンドを抑えて基板面近傍に存在する蛍光分子を観察することができる。この特徴からエバネッセント顕微鏡は一分子イメージングの分野で利用されていたが、蛍光分子の三次元分布を計測することはできなかった。本研究では、エバネッセント顕微鏡で取得した複数の画像から蛍光分子の基板面からの距離を計測する手法を開発した。それにより、細胞内に存在するアクチンフィラメントを蛍光染色して、立体的な構造の解析に成功した。他方、エバネッセント顕微鏡に似た光学系によって構成される顕微鏡にブリュースター角顕微鏡がある。ブリュースター角顕微鏡はP偏光の光をブリュースター角で入射した時に、その反射光を結像してイメージングする顕微鏡である。本研究では落射顕微鏡をベースに開発されたブリュースター角顕微鏡を用いることで、細胞の基底面における細胞内分子の構造やその挙動についての観察を行なった。