光ピンセットを用いた一分子DNAの力学特性計測系の構築
安藤直人 (0451129)
光ピンセットは集束レーザー光を用いて
水溶液中の数マイクロメートル程度の大きさの
微小物体を捕捉する技術である。本研究ではDNA一分子とDNA結合タンパク質間の相互作用の計測を目的に、
粒子位置変位に対して高感度の光ピンセットシステムを構築した。
光ピンセットで捕捉した粒子は周囲の媒質の分子から絶えずランダムな衝突を繰り返しており、その衝突の影響で粒子はブラウン運動
と呼ばれるランダムな動きをしている。DNA自身やDNA結合タンパク質からの力が印加された際、粒子の位置変位からその力を計測することができるが、
外力による粒子位置変位がブラウン運動による粒子位置変位より十分な大きさでないならばブラウン運動は大きなノイズとなる。
そこで本研究ではブラウン運動によるノイズを抑制することを目的に光ピンセットのフィードバック制御を行った。 粒子位置の計測に対して「散乱光」と「二光子励起蛍光」の2種類の計測方法を試みた。
また、本研究で想定する実験系に用いる計測用DNAの標識を試みた。
発表では構築した光ピンセットシステムに対して行った較正とフィードバック制御をした際の粒子変位の抑制した結果について言及する。