コンパス型ロボットの転倒回避制御

山口 幸輝 (0451121)


1990 年代後半から,ホンダのASIMO やソニーのQRIO を始めとし, 様々な動歩行可能なヒューマノイドロボットが開発されてきた. これらはZMP (Zero Moment Point) に基づいて制御を行うことで二足歩行の実現を可能とした.

より効率的で人間に近い歩行を実現させるため,重力場と下り斜面を利用した研究として Passive Dynamic Walking (受動歩行)がある. また,細川らによりコンパス型二足ロボットモデルの動的安定性指標である “Index of Falling”,“ Index of Colligion ”,“Postural Stability Criterion”が提案された. しかし,これらの指標の有効性の検証はシミュレーションのみであり,実機での指標の有効性の検証が必要である. またどのようにして転倒を回避するのかということに関しては示されていない.

そこで本研究では, 実機による動的安定性指標の有効性を検証した. その際,実験では衝撃を伴うため,市販のロボットを用いるには仕様が公開されていなければ, 実験中に頻繁にロボットに不具合が生じる恐れがある. また,機能を拡張することも,仕様が公開されていないと安易に行えない. そのために本研究ではコンパス型ロボットを設計・製作した. そして設計・製作したコンパス型ロボットを用いて,動的安定性指標の有効性を検証した. 実験では,設計・製作したロボットと同じパラメータでシミュレーションを行い, 実験結果とシミュレーション結果との比較を行い,有効性を検証した. また実験結果を応用し,股関節角度を制御し,転倒回避制御する手法を提案し, 実験により手法の有効性を検証した.