操作者の分身となるための遠隔移動ロボットの研究

桝永沙織 (0451109)


遠隔地とのテレコミュニケーション手段には電話,インターネット,テレビ電話などが存在する.
これらの手段はいずれも特定の相手と音声や文字,映像によるコミュニケーションが可能である.
しかし,いずれの手段も相手の様子をうかがい知ることは困難であったり,得られる情報は相手の意思に依存している.

本研究は遠隔地の環境内を自由に動き回り,
そこに居る人とコミュニケーションをとることのできる遠隔分身ロボットの実現を目的としている.
そのためロボットは遠隔地を自由に動き回り,指定された目的地までたどりつくために
自己位置同定や経路計画,経路制御,障害物回避などの機能を統合した自律移動ができなくてはならない.

また,テレコミュニケーションを行うためにテレビ会議システムをロボットには搭載する.
ここで,ロボットに対してなんらかの呼びかけがあった場合に音源定位を行うことで,呼びかけられた方向を知ることができる.
また,音に対する機能を拡張することで聴覚の焦点を思った位置に向けることが可能となる.

本論文ではこれらの機能を持つロボットの構築について述べ,
自己位置同定,障害物回避,自律移動,音源定位の実験を行い,
ロボットは動き回ることを許されている環境下で自律移動を行うことができること,
呼びかけられた場合の音源の方向を知ることが可能であることを示した.