オーバレイネットワークの構成を支援するネットワーク特性共有基盤の研究

益井 賢次 (0451108)


ネットワークアプリケーションがオーバレイネットワークを構成する際、オーバレイネットワークの参加ノード間の往復遅延時間~(RTT)~やIPネットワークトポロジといったネットワーク特性を把握することで、アプリケーションサービスの性能向上や安定運用が期待できる。本研究では、オーバレイネットワークの構成処理に関わるネットワーク特性を収集する活動を独立した1つのサービス``N-TAP''として展開することを提案する。N-TAPはインターネット上のノードにネットワーク特性を収集するエージェントプログラムを配置し、ネットワーク特性を必要とするアプリケーションがエージェントに要求を発行することで情報が得られる、プル型の情報提供サービスである。N-TAPを展開・利用することで、アプリケーションからのネットワーク特性の取扱いは容易になり、また従来の測定手法の枠組みでは実現できなかった2ノード間の双方向のネットワーク特性を取得できる。さらに、ネットワーク特性の収集をサービスとして共通化することで収集した情報を再利用でき、ネットワーク特性の提供時間の短縮やネットワーク負荷の軽減が可能となる。本論文では、ネットワーク特性共有基盤としての要件をまとめN-TAPを設計・実装し、運用の段階で想定される問題に対するN-TAPの機能の検証実験と評価、そして対策についての議論を行う。