Webサイト閲覧時の印象評価のための脳波計測

福嶋祥太 (0451106)


現在インターネット上に,同じような情報を配信するWebサイトが多数存在している.したがって,ネームバリューのないWebサイトが使いにくかったり印象が悪かったりした場合,利用者は他のWebサイトにすぐに乗り換えてしまう.このような問題を防ぐには,閲覧者がWebサイトから受ける印象を考慮してWebサイトを構築する必要がある.そのためには,まずWebサイトから受ける閲覧者の印象を評価しなければならないが,Webサイト閲覧者の印象を客観的に評価する手法は確立されていない.

本論文では,Webサイト閲覧者がWebサイトから受ける印象を客観的に評価することを目的として,Webサイトの印象の差が脳波にあらわれるのか検証するために脳波計測実験を行った.実験では,8名の被験者に対して,印象の良いWebサイトと印象の悪いWebサイトを準備し,それぞれのWebサイトを閲覧している際の脳波,閲覧後に目を閉じてもらった際の脳波を計測した.実験の結果,Webサイトの印象の差がWebサイト閲覧後閉眼時のα波帯域エネルギー率とβ波帯域エネルギー率/α波帯域エネルギー率に統計的に有意な差があらわれることがわかった.実験の結果から,脳波計測を用いることによりWebサイトから受ける被験者の印象を客観的に評価できる可能性があることが示唆された.

感性情報工学が1990年代に提唱されてから感性品質等感性をテーマにした研究は増えつつある.Webサイト閲覧時の印象という感性に脳波という非常に繊細な生理指標を用いて取り組んだ研究である.