筋電と血流の同時計測による筋疲労推定

仁田原 千尋 (0451090)


近年,筋疲労の解明及び簡便かつ定量的な評価は,スポーツ医・科学,リハビリテーションの分野において,重要な研究課題の一つと位置づけられている. 現在の筋疲労推定手法は,解析・計測が困難,装置が高価など克服すべき問題点がたくさん存在する. そこで本研究は比較的容易に検出できる筋電や血流から,局所筋の酸素動態を反映する酸素化ヘモグロビン濃度,脱酸素化ヘモグロビン濃度を導出する,筋疲労推定モデルを構築する. 具体的には筋電,血流,近赤外分光法により算出した酸素化ヘモグロビン濃度,脱酸素化ヘモグロビン濃度を利用し,部分空間法によるシステム同定により,諸パラメータの関係を表す,状態空間モデルを求める. この状態空間モデルは個人,筋肉,運動様式の差をある程度考慮したモデルになるため,個人の特性を反映した筋疲労推定モデルの構築が可能となる. また筋疲労推定モデルの評価実験として,従来から筋疲労評価手法として用いられている中間周波数を筋疲労パラメータとし,本研究における筋疲労評価手法との比較を行った.