近赤外分光計測画像法による手指筋出力に関連した脳活動の計測

南部 功夫 (0451089)


Brain Machine Interface(BMI)は,人間の脳の情報と機械とを繋ぐインターフェースである.この技術は,手足を動かせない患者の生活を支援するだけでなく,脳損傷患者のリハビリテーションへの応用や健常者でも新たなコミュニケーション方法の確立など様々な面での貢献が期待される.脳を傷つけることなく非侵襲的に脳情報を抽出できる技術が最適であり,その中で簡便性と個々の事象に関連した脳活動を正確に計測するという観点から見ると近赤外分光計測画像法(NIRS)が適していると考えられる.そこで本研究ではNIRSに注目した.一方で,NIRSは歴史が浅くその信号の妥当性すら十分に検証されていないという背景もある. そこで,運動基本要素である筋出力量に関して,異なる手指筋出力量に関連する脳活動をfMRI及びNIRSで計測し,BOLD信号の変化量と酸化ヘモグロビン(oxy-Hb)相対変化量との対応を検討した.その結果,NIRSで測定されたoxy-Hbおよび総ヘモグロビン相対変化量(total-Hb)は筋出力量を反映し,fMRIで計測した運動野同領域のBOLD信号と高い正の相関を示した.さらにNIRSで筋出力量を予測可能かを検討するために,運動野のNIRS信号を線形回帰手法を用いて解析することで筋出力レベルを予測できる可能性が示された.本研究はNIRSを応用したBMIの将来性を示唆する黎明的研究に位置する.