提案するオブザーバは複数のゲインを用意し,観測信号の遅延時間に応じてゲインを切替えて制御対象の現在の状態を推定する.オブザーバの設計は,切替えを伴う推定誤差系の 安定化問題に帰着される. 本論文では,誤差系の安定性を保証するように,線形行列不等式を解くことでゲインを設計する.さらに,切替え型オブザーバの性能を向上させるために,D安定性を用いた設計法を述べる.この設計法は,オブザーバの極配置の領域を指定するものであり,状態推定の過渡特性を改善することができる.最後に,数値シミュレーションと実機実験により,提案するオブザーバの有効性を検証する.