Evolved UTRA上りリンクシングルキャリア無線アクセスにおけるスペクトル整形フィルタの最適ロールオフファクタの検討

中川 威 (0451082)


本論文では,Evolved UTRA の上りリンクシングルキャリアFDMA(Frequency Division Multiple Access)無線アクセス方式において,ピーク電力対平均電力比(PAPR: Peak-to-Average Power Ratio)を考慮したスループット特性を基に,周波数効率とPAPRのトレードオフの観点からスペクトル整形フィルタの最適なロールオフファクタの値を明らかにした.本評価では,送受信機間の残留周波数誤差に起因する周波数オフセット,ユーザ間の往復伝搬遅延の差に起因する時間オフセット,およびユーザ間の受信電力誤差により生じるマルチユーザ干渉を考慮し,LocalizedおよびDistributed FDMA信号双方について検討を行った.計算機シミュレーション結果より,周波数オフセット200 Hz, 時間オフセット6 usec,およびユーザ間の平均受信電力差が6 dBのとき,QPSK変調の適用領域においては0から0.2の範囲では顕著なロールオフファクタ依存性はなく,16QAM変調の適用領域において,PAPRを考慮した周波数効率はロールオフファクタが0.12-0.16のとき最大になることを示した.