追跡手法として,各瞬間における対象追跡結果を確率的に表現する手法が近年注目を集めている. しかし,この手法は,事後状態の履歴から事前状態を予測する規則を用いるので, 対象の姿勢や動きが急激に変化すると予測値が真値から大きく離れる. この場合,注目している対象ではない他の対象と取り違える,または,全く新しく出現した対象として認識されるので, 対象の正しい軌跡を描くことができない.
そこで本研究では,生物の動きが急激に変化するときはなんらかの特徴的な姿勢変化があることに着目する. 対象の姿勢変化と動きの変化の関係をあらかじめ学習し, その学習された結果を用いてより精度の高い予測規則を作成しておくことで,追跡の精度を向上させる手法を提案する.
提案手法の有効性を示すために,比較的単純な姿勢変化に限定される金魚を対象として実験を行った. 実験では,サンプル映像から対象の行動予測規則を自動的に生成し,複数の金魚を追跡する実験を行い本手法の有効性を確認した.